りんご
蒼い芝のうえに夢を見ました
柔らかなそれを踏んで
赤いりんごが歩いてきました
わたしとあなたの足元に
母さんは言ってくれました
佳い夢は話してはいけないと
すっかり忘れておりました
素直なわたしのかわいい記憶
わたしが壊す 紙風船
あなたが侵す 桃源の夢
わたしが屠る かわいい君
あなたが奪う わたしのりんご
いいえわたしのせいでした
わたしを責める林檎の産毛
ひとりで嗤っておりました
帽子を被った林檎と一緒に